自分が好きな街ってありますよね。なんだか好きな街。便利とかどうとかというわけではなく雰囲気が好きだったり、自分と合っている街。
片や苦手な街っていうのもあったりします。
個人的には、”隙”のある街がスキです。
ちょっと完成度が低かったり、妙なボイドがあったり、
トマソン(赤瀬川源平曰く「不動産に付着していて、美しく保存されている無用の長物」)が顔をのぞかせたり。
そんな街には妙に共感してしまい、その隙間に自分の何かを埋め込まずにはいられなくなります。
昔は、日本(東京)の街はヨーロッパの各都市と比べて統一感がなく、
ガチャガチャしていて美しくないなんてよく聞きました。
地震大国でスクラップアンドビルドを繰り返すから致し方ないのですが、
だからこそ変わらない景色に憧れがあるのは否めないところも。
そんな反省からか、近年の日本の大規模開発においては、
街のクライテリアを守る活動や、計画的開発、周辺地域との連なりの醸成など意識が上がっているように感じます。
ただ、個人的には、絶えず時代の胎動と共に変化し、
それらがレイヤーのように横に積み重なる東京や日本の街が凄く好きです。
その時代時代の建物、施主個人個人の思い思いの建物が並び立つ。
計画性がないからこそ、ソノアイダに文脈断裂された変なボイドが生まれる。
街の”隙”みたいな誰の意思も介在しない場所があって、
だからこそその余地に作り手ではない誰かの気持ちや勘繰り、
ワクワクの発意なんかを埋め込める気がします。
予定調和で合理的な街もいいのかもしれないけれど、
ここから何が飛び出してくるかわからない、
けれどもその街に住まう人や集う人が何かをせずにはいられない街なんてものがあってもいいかなと。
そんな街や場のことを”誰しもがオーナーシップを持ちうる場所”として「ニューパブリック」と呼んだりしています。
そんな「ニューパブリック」には、今のところ6つの法則があるんじゃないかという仮説を立てているのですがそれはまた別のお話。
ところで、リリースもさせていただくのですが、
このたび、京王多摩川駅前開発にスマイルズも参画します。
最近所謂街づくり関連でお話をいただくことが増えたのですが、
ご依頼してくださった方々も、きっと先に書いたような自分たちの意図を超えて、
住まう人、集う人の思い思いが偶発的にカタチとなり、包摂してくれる、
未来の予想がつかない予定不調和な街づくりを志向しているのかなと思います。
これはもはや”街づくり”ではなく、”街づくられ”。
スマイルズは”街づくられ”に参加します!
自分たちの思いも少し添えて。
野崎亙
京王グループによる京王多摩川駅界隈の地域に根差したまちづくりが本格始動。スマイルズはまちづくりパートナーとして参画地域プレーヤーや地域住民主体のプレイスメイキングの企画・運営をサポート