AI時代の残り物


本年、GOOD DESIGN賞の審査委員をやらせてもらいました。プロダクトから建築まで、防災から地域活性まで、様々な対象と様々なモノサシで向き合う審査は刺激的で、知と目の肥やしですね。審査委員って役得です。
ところで、今年のアワードを眺めてみると、やっぱりデザインは「人の力を信じてみる」ことから始まるんだね。なんて感じます。大賞を獲ったデイサービスセンター「52間の縁側」や「神山まるごと高専」なんてまさにそう。Panasonicの「電動シェーバー」なんかは人の”手”を信じるという感じでしょうか。
AI全盛の時代、大抵の人がやってきたことは代替できてしまう。クリエイティブやデザインですら、もはやAIの得意領域。それならば僕たちに残されたできることってなんだろう?
「決断」というのはどうだろう。AI君も決める手前まではお膳立てしてくれるが、最後に決断するのは人。いやまてよ、それすら委ねちゃうこともありえそう。決められてしまった方が気楽なこともある。そろそろスポーツの審判は全てAI君に委ねられそうな気配もある。
じゃあ「熱量」なんてどうかしら。意欲だったり、ワクワクだったり、責任感だったり。周囲を巻き込んで積極的にかかわってもらう機会だったり。誰かの体温を上げることが果たしてAI君にはできるかな?
今のところは人側に軍配が上がることにしておこう。
AIよりも愛(ai)が勝つ!と一旦思っておくことにしよう。

野崎 亙

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