この度、評価の項目が108個になりました。
ちょうど一年前、スマイルズの評価のフレームワークについての記事を書きました。この時は105項目でしたが、あたらしい項目の追加と入れ替えがありまして、Skill(技能)60個+Attitude(姿勢)48個=合計108個の項目となりました。(煩悩と同じ数。もうこれ以上は増やしません!)
過去の記事はコチラ→SよりAを尊んで -人事評価の勘どころ
今回はあらたに追加になった新人項目(newcomer)のSkillとAttitudeをご紹介したいと思います。
【ミエルウゴキ】
自身の仕事やアクションが周りに見え、伝わっている。プロジェクトメンバーや上長から「あれ、どうなっているの?」と言われない。
×:動きが見えず、仕事はやっているのに周囲やクライアントを不安にさせてしまう。
【多作力】
量で質に向かう。制作や実行の手数でプロジェクトを前に進めたり、可能性のある道を見出す。
×:最低限の案しかつくらない。選択肢を提示できていない。
【ワークするデザイン】
リアルに実装しうる、機能するデザインが行える。PPTやイラストレーター内で筋が通っている、美しいものを作るだけではない。
〇:1/1の検証や実際の紙・食材での試作などを実直に行っている。
【目的創造力】
ひねり出して、ない目的をクリエイションして達成に導く。目的こそ創造する知見を有している。
×:アイデアや計画は立てられるが目的や狙いを持てていない。クライアントが目的をもっていないことを嘆く。
【後味力】
案件や関係が次に繋がるように、スマイルズの印象をピークエンドする意識を持ち、行動している。
〇:プロジェクトの締めくくりにこそ集中力をもって注意を払って行動している。
【自分ごと化】
プロジェクトそのものを自分ごととして捉えている。またプロジェクトのお題や生じる問題に対して、常に「自分だったらどうするか?」を思考しながら、向き合っている。
×:他人事。同席しているだけで、自分なりの意見や視点が持てていない。
社員や事業とともに、評価項目も成長する!
一年に一回、これをモノサシに目標設定や評価面談を実施するわけですが、この108項目は評価指標としてよりも、行動指針としての存在価値が高いようにも感じます。「こういう立ち居振る舞いをして欲しい」「今の組織や事業にはこのチカラが必要である」という経営メッセージの役割を担ってくれ、評価のタイミング以外でも、自分や仲間の行動を見直したり、賞賛したりする軸になってくれます。
また、一般的に評価項目は頻繁に内容が変わる類のものではないと思われますが、私たちは事業の変化やメンバーの成長に合わせて、毎年少しずつ入れ替えることで、評価制度を育てていく感覚を持っています。そんな視点とひと手間も、変化に強い組織をつくっていく上では効果的なのではないでしょうか。
評価項目は、上司をマネジメントできるツールでもある?!
実は、評価は上司から部下に対してだけではなく、メンバーが上司や経営にリクエストしたり、良くない行動にブレーキをかけるのにも使えるのではないか。これからの事業展開や会社としてユニークネスを維持しつづけるため、経営が意識的に取り組んでいかなければならない項目や、先輩社員に対しても健全な相互監視が起こりやすくするために追加した項目もあります。
【事業構想】
既存の自社リソース(ヒト、モノ、カネ、情報など)を分析し、顧客および市場のニーズを捉えながら、両者を結節させながら中長期的な視点をもった事業を構想することができる。
×:短期的なアイデア、ただのユニークなコンセプトになっている。
【フィードバック力】
相手のことを尊重しながら、相手のことを思ったアドバイスや指摘注意喚起を心掛けている。コミュニケーションの難易度は高いが、摩擦を怖れずに実行している。
×:感情に任せたただのダメ出し。見て見ぬふりでフィードバックをしない。
「事業構想」は、既存事業の継続や運営の効率化だけをやっていては、あたらしい価値や次の事業創出につながっていかない。1つ1つのプロジェクトの範疇に留まらないで、事業を構想するんだ!という視座、アンテナ、情報収集、ネットワーク構築などをやっていくという宣言に近いもの。
「フィードバック力」は、メンバーから「スマイルズは振り返りやフィードバック文化が弱い」という指摘を受け、それに向き合うために評価項目に入れ込みました。どうしても、次のことやプロジェクトの問題解決に気がいってしまいがちなため、振り返りやフィードバックは苦手としているところです。(反省)
【大我慢】
感情、思考、発言をぐっと堪えて、一時周りの反応や対応を待つ。チーム全体が考え、実行できるような状況を作れている。
〇:スタンドプレーになっていない。常に冷静で落ち着いている。
【修羅場エンジョイ】
シリアスな局面でもユーモアを忘れずに、チームの意欲を引き上げる。厳しい状況でも前向きな姿勢を失わない。むしろテンションが上がっていく。
×:ハードな状況で不機嫌になってしまう。周りをシリアスな空気にしてしまう。
この評価項目の見直しについてディスカッションしていた時に、社長の野崎は「机タタキ力」と題し、机を叩いてしまうくらいの熱意が大事だ!というチカラを入れようと提案したのです。すると周りのメンバーが「逆ですよ。むしろ机を叩いて欲しくない」と話し合い【大我慢】という項目が採用されました。
そこから発展して、ハードな状況でこそ上機嫌で周囲をチアアップしてもらいたいということで【修羅場エンジョイ】が生まれます。部下が上司をたしなめる。立場がある人を牽制したり抑止するために、使おうと試みているのは面白いんじゃないかなと。
組織の空気と気圧
天気と同じく、組織の空気も晴れがあれば、曇りや雨もありますよね。目には映りませんが、組織にも気圧のようなものがあって、空気が温まって上昇気流が生まれる時や、冷たい空気が上から下に降りていく時もあるでしょう。一方的だと心地よい環境はつくれない。組織の空気のためには、評価も上下運動どちらも必要なのだと思います。スマイルズの評価システムも、まだまだ運用面では課題があるので、今後も改善を続けていきたいと思っています。
評価項目は、きっと大事なメッセージ
繰り返しになりますが、評価の時には「何ができたか」「何ができなかったか」を振り返ることが多いと思いますが、評価項目に書かれている言葉は、会社が本当に大事にしていることや人に期待していることそのものであり、会社から大事なメッセージになる。美しいきれいな言葉で掲げられたパーパスやミッションよりも、評価項目こそが実質的な行動指針といえるのではないでしょうか。
上司だって、持っていないスキルやみんなから見習うべき姿勢はある。
社長だって、身に付けるたいチカラや気を付けるべき態度はある。
組織の気圧は、上から下へ流れていく高気圧もあれば
下から上に立ち昇っていく低気圧だってある。
組織の空気は、上下運動どちらも必要。
評価は、組織の大事なメッセージ!
PROFILE
吉田 剛成(よしだ たけなり)
株式会社スマイルズ 取締役/CHRO
2008年スマイルズ入社。Soup Stock Tokyoでの店長業務、人事部採用担当を経て、2013年から2015年にかけては、スマイルズの交換留職で経済産業省クリエイティブ産業課へ出向。中小企業の海外展開事業や海外向け情報発信の立ち上げに参画。現在は外部案件のコンサルティング、企画・プロデュース、ワークショップなどを担当。取締役として組織づくりや事業企画にも関わる。時折ダジャレや韻をベースとしたコピーライティングも手掛ける。大きな声では言えないが姑息さを兼ね備えたプロジェクトマネジメント術にも定評がある。週末は息子のサッカークラブサポーターが趣味。