2024年4月にスマイルズは名刺デザインをリニューアルしました。
「変わるものと変わらないもの」をコンセプトに、レイアウトは変わらないけど、毎回紙が変わる仕様です。
ショッキングピンク、大人グレー、厚紙ホワイトなど、できるだけ余剰で捨てられる紙などを活用しながら展開しています。そして一番最新の紙は、スマイルズで出た大量の紙ゴミをリサイクルして作られた「古紙イエロー」です。
はじまりは、大和板紙さんという板紙を作る会社さんとの打ち合わせでした。
プロジェクトに使う紙を探していたはずが、営業の方から古紙を回収してくれるサービスを聞いた途端、「会社で出た紙を古紙として再利用して、それが会社の名刺になったら嬉しいかも!」と思いつき、頭の中は古紙回収でいっぱいになりました。
早速交渉。社長に提案。すんなり決定。
古紙入りの紙商品の中から好きな紙を選び、その商品の製造工程の中に、スマイルズの紙ゴミを溶かして入れてもらうことになりました。選んだ紙は古紙配合率100%の「ゆるチップ」。片面は蛍光味のあるイエローで、もう片面はグレーの表裏で色が違う紙です。
話がまとまったのは去年の11月初旬のこと。
タイミングよく、そのすぐ後に会社の大掃除が待っていたので、機密文書もまとめて溶解してくれる大和板紙さんの「封緘箱(ふうかんばこ)」に会社の紙ゴミをパンパンに詰めて製紙工場に送りました。
「つくる人は、ゴミに対して人一倍責任がある」
とは、昔上司に言われ、深く納得し、私の中に住み着いた言葉。
ものを作り続ける以上、ゴミは避けて通れない問題です。
デザインにこだわり、印刷して検証を重ねれば重ねるほどゴミが増えてしまうというジレンマを抱えています。
裏紙にして使ったり、カットしてメモ帳にしたりしつつも、
ゴミが出るスピードにはとても追いつかない・・・。
(そもそも社外案件はシュレッダーにかけないといけないし)
もっとドカンと再利用できないか?と日々思い続けていたところ、今回名刺という形で実現出来ました。
制作プロセスで生まれる、血と涙の結晶のような紙ゴミたちがギュギュっと詰まっていることもあり、仕上がってきた名刺には、いつも以上に愛着が湧いています。
ゴミがゴミにならず、こんな可愛い形で戻ってきてくれるなんて。
スマイルズの紙ゴミを再利用してつくった「古紙イエロー」の名刺。
ぜひお手に取ってご覧ください。
アートディレクター 山城 由